臨床研究を実施するためには、クリニカルクエスチョンからリサーチクエスチョンを構成し自らの研究目標(スコープ)を明確にすると供に、「リソース(人材・資材・資金等)・時間」も熟考したうえで実施可能性の高い計画を作成することが必要です。しかし、現実は何から手をつけようかと迷うことが多く、当初のスケジュールから遅延する研究者も少なくありません。この解決の一助として、当研修会は「臨床研究・医師主導治験を一つのプロジェクト」と捉え、PMBOKガイドのタレント・トライアングル に基づき、2020年度から2023年度は3回シリーズの研修を継続開催し、臨床研究の立案に必要なスキル・知識、スケジュールの立案・スケジュールの変更とコミュニケーション・ステークホルダーマネジメント・チームビルディングといったパワースキルをテーマとして講演形式で開催しました。また2024年度は、これまで4年間の学びをもとにグループワークを中心とした実践的な内容を導入し、プロジェクトチャーター、Target Product Profile (TPP)、スケジュールの立案に関する理解を深めました。
今年度2025年度は、「橋渡し研究支援プログラム、ステージゲート(AMED)」 の理念をふまえ、シーズの育成から非臨床、臨床への展開を円滑に進めるための、より高度な知識とスキルの習得を目指します。昨今、患者市民参画(Patient and Public Involvement:PPI)の推進がうたわれており、臨床開発におけるPPIは、今後日本の臨床開発におけるアクションプランの重要な位置付けとなっています。各シーズの出口や成果導出は、患者・市民のためにあることを意識づけるため、本研修会ではPPIに関する講義も取り入れます。そのため、アカデミアのプロジェクトマネジャーは、TPPをふまえた出口戦略とCMCや非臨床試験等の各論について理解する必要があると考え、各分野でご活躍の先生方にご講演いただきます。